売上を追うな。勝ち筋を追え。

コンサルタントとして生きてきた10年間で見えた、経営の本質

 

※本記事は、2026年5月13日に代表が所属する日本経営士協会で講演を行った際の内容を要約したものです。

 

「売上が伸びない」

経営者から最も多く相談される悩みの一つです。しかし、10年間にわたり数多くの企業を支援してきた中で、私はある結論にたどり着きました。

それは、「売上を追うこと」と「会社を良くすること」は、必ずしも同じではないということです。

私は2016年、44歳で独立しました。自動車ディーラー、広告代理店、通販コンサルタント、物流会社役員などを経験した後、経営コンサルタントとして歩み始めました。現在は複数の企業の経営支援に加え、システム事業や教育事業、店舗経営など、自らも事業を運営しています。

独立後、多くの経営者と向き合う中で気づいたことがあります。

それは、経営者が口にする課題の多くは「本当の課題」ではないということです。

「売上を伸ばしたい」
「集客を増やしたい」
「人が採れない」

確かにそれらは問題です。しかし深く話を聞いていくと、本質は別の場所にあることが少なくありません。

ある企業では、売上を16億円から21億円まで伸ばしました。しかし利益はほとんど増えませんでした。一方で、その後売上を10億円以下まで圧縮したにもかかわらず、利益は過去最高を更新しました。社員への還元も増え、経営はより安定したのです。

経営の目的は、売上を増やすことではありません。

利益を生み、社員を守り、顧客に価値を届け続けることです。

だから私は、コンサルティング契約を急ぎません。

相談を受けても、すぐには契約しないことが多々あります。経営者と何度も対話し、事業を理解し、「勝てる道筋」が見えた時だけお引き受けします。勝ち筋が見えないまま契約することは、相手の時間とお金を奪う行為だと思っているからです。

また、私が最も大切にしているのは「話すこと」ではなく「聞くこと」です。

コンサルタントは知識を語る仕事だと思われがちですが、本当に重要なのは相手の言葉の奥にある本音を見つけることです。

経営者は孤独です。

だからこそ、否定せず、遮らず、最後まで耳を傾ける。その中から本当の課題を見つけ出し、一点突破で成果を出していく。その積み重ねが信頼となり、長いお付き合いにつながっていきます。

私は常々、「対価はありがとうの積み重ねだ」と考えています。

お金は結果であり、目的ではありません。

経営者としても、コンサルタントとしても、相手に価値を届け続けた先に信頼が生まれ、その信頼が新たな仕事を生み出していく。

10年間コンサルタントとして生きてきて、変わらず信じていることがあります。

経営に必要なのは、派手な理論ではありません。

目の前の相手に誠実であること。
本質を見抜くこと。
そして、勝ち筋が見えるまで考え抜くこと。

それこそが、企業を成長へ導く最も確実な方法なのです。