“外注”ではなく、企業の中に入る。ハシデザインが実現する「デザイン部」という新しい選択肢
インタビュアー:3spice代表 渡辺一正

デザイン会社に依頼すると、ロゴやパッケージ、Webサイトなど、必要な制作物は手に入る。けれど本当に企業が欲しいのは、単発の制作物ではなく、事業の成長に伴走し、社内の文脈を理解しながら価値を積み上げていく“デザインの機能”なのかもしれない。

そんな問いに、独自の答えを提示しているのが株式会社ハシデザインだ。理念は「橋でありたい。」。人と人、企業と顧客、理想と現実をつなぐ存在を目指し、「共創する、歓びを。」を掲げて活動している。

今回は、株式会社ハシデザイン代表・橋村瞳氏に、同社の核となるサービス「デザイン部代行」について話をうかがった。


「作る人」ではなく、「企業の中で育てる人」でありたい

渡辺:ハシデザインさんの特徴は、一般的な受託制作とはかなり違いますよね。

橋村:はい。一般的なデザイン会社は、発注を受けて制作物を納品する形が多いと思います。でも私たちは、パートナー企業の社内チームの一員として、デザイン戦略と制作を担う“デザイン部”として関わっています。

この言葉に、ハシデザインの本質が詰まっている。単なる制作会社ではない。企業の外側から指示を待つのではなく、内側に入り、考え、提案し、必要に応じて外部パートナーまで束ねながら前に進める。だからこそ、同社が提供しているのは“デザイン制作”ではなく、“デザイン機能の実装”に近い。

 


原点は、ドン・キホーテのデザイン部立ち上げ経験

渡辺:この発想は、どこから生まれたのでしょうか。

橋村:私自身、ドン・キホーテでデザイン部の立ち上げに携わり、11年間在籍してきました。商品企画やプライベートブランドのデザインを担当し、社内にデザイン機能があることの価値を現場で実感したんです。

橋村氏は、ドン・キホーテでデザイン戦略と制作の両方を担い、年間200案件以上のパッケージ、ブランディング、ロゴデザインを手がけてきた実績を持つ。そこで培われたのは、単に見た目を整える技術ではない。売場、商品、顧客心理、事業成長まで見据えた“商業に寄与するデザイン”の感覚だ。


中小企業にこそ必要な「デザイン室」の役割

橋村:中小企業には、本来デザイン部が必要なのに、専任で抱えるのが難しいケースが少なくありません。だったら私たちが、その会社のデザイン部を代行すればいい。そう考えたんです。

この発想は極めて本質的だ。中小零細企業ほど、ブランドの整備、販促物の統一、サービスの見せ方、資料やサイトの完成度が業績に直結する。一方で、そこに常勤人材を置く余裕はない。ハシデザインは、その現実に対して“外注以上、内製未満”ではなく、**“外から入る内製機能”**という解決策を提示している。

しかも契約形態は、都度見積もりではなく月額定額のサブスク型。ロゴ1点いくら、パッケージ1点いくらではなく、継続的な伴走を前提に関係を築くスタイルだ。


強みは、広さではなく「一貫性」と「当事者性」

ハシデザインのもう一つの強みは、対応領域の広さにある。パッケージ、ロゴ、LP、ホームページに加え、自社で完結しない領域も適切な協業先と連携しながら全体を前に進める。つまり、クライアントにとっての“デザイン窓口”になれるのだ。

実際、導入企業からの評価も象徴的だ。株式会社kyogokuからは、「ブランドの世界観作り、パッケージデザイン、WEBデザインや商品企画まで、デザイン+αに関する全てをサポートできる唯一の会社」と評されている。さらに株式会社TRYWARPからは、「社員の一員のようにプロジェクトにジョインしてくれる」「サブスクというより社外取締役に月額の役員報酬をお渡ししている感覚」とまで語られている。

これは、単に守備範囲が広いという話ではない。企業理解を深めたうえで、ブランド全体の一貫性を保ちながら意思決定に寄り添うこと。そこに、ハシデザインの価値がある。


これからの企業に必要なのは、「共創できるデザイン」

渡辺:どんな企業と、特に相性がいいと感じますか。

橋村:一番バリューを出しやすいのは、新規事業の立ち上げフェーズにいる経営者の方です。最初の設計が整うと、その後のデザインも安定しやすいんです。

なるほどと思う。デザインは、最後の装飾ではない。事業の初期設計から関わることで、会社案内も、ロゴも、販促物も、Webも、すべてが一本の思想でつながる。ハシデザインが求められているのは、まさにその“起点”なのだろう。

橋村氏の言葉を聞いていると、同社が目指しているのは「いいデザインを作る会社」ではなく、「企業の中に、デザインという資産を残す会社」だとわかる。

外注先ではなく、社内のデザイン室のような存在として伴走する。
それは、人手不足や組織未整備に悩む中小零細企業にとって、非常に現実的で、しかも力強い選択肢だ。


橋村瞳 プロフィール

橋村瞳(はしむら・ひとみ)
株式会社ハシデザイン代表/デザイナー。ドン・キホーテのデザイン部立ち上げに携わり、11年在籍。デザイン戦略・制作の両面から事業と商業におけるデザインの寄与を学ぶ。年間200案件以上(2022年度実績)のパッケージ・ブランディング・ロゴデザインを担当。独立後はハシデザインを設立し、商品にまつわるデザインを強みに、「デザイン部代行」という独自の形で企業の成長支援を行っている。L’Oreal BRANDSTORM 2007 日本優勝/日本代表、Tokyo Midtown Award 2011 小山薫堂賞。