内容紹介

「ロンドンはもうすぐロックダウンされるかもしれないんだって。」 ― ロンドンに住む娘からそんな電話がかかってきたのは、2020年3月17日のことだった。そしてすぐにロンドンだけではなく、イギリス全体がロックダウンになった。3月の時点でイギリス政府は「もしコロナウィルスによる死者が2万人の抑えられれば、それは対策がうまくいったということ」「最悪のシナリオでは、死者が5万に上る可能性もある」と言っていたが、実際には4月中に死者が2万人を超え、11月には5万人も超え、2021年2月までに実に12万人以上が亡くなっている。
科学的根拠と民主主義を社会の軸とし、コモンセンス(常識)を重んじてきたはずのイギリスで、どうしてこのような事態に陥ってしまったのか。また、そのような状況下で、イギリスの人々はどのように日々の生活を送ったのか。
在英20年の著者が、自身の経験・身の回りの出来事・日々の報道を通して見つめた2020年3月から2021年2月までのイギリスコロナ禍の記録。

宮崎県出身。1965年生まれ。早稲田大学第一文学部(日本文学)卒業。日本語教師、国語教師として働いた後、1999年より英国ケンブリッジ在住。イギリス人の夫との間に一男一女。ワーキングマザーをしながらケンブリッジ大学修士課程(第二言語教育)終了。修士論文題名は「ケンブリッジで継承日本語を学ぶ年少学習者の読む能力を伸ばすために何が有効か」。イギリスで育つ子供たちの継承日本語教育に長年携わる。2021年出版のボニー・ケムスケ著「Kintsugi」(Herbert Press社)に、金継ぎの歴史研究に関し協力・寄稿。批判的精神を持ちながら、宮崎、日本、イギリスをこよなく愛する。